今中さんの「身近にみられる野鳥図鑑」
池や河川にカモ類の渡来が観られる季節になりました。カモ科アイサ属を紹介します。 漢字で「秋沙」と書き、秋は季節、沙は「去る」を意味し、 万葉集 巻七に 「山の際に渡る秋沙のゆきて居むその川の瀬に波立つなゆめ」(作者不明)という歌もあります。 アイサ属は水に潜り魚や貝類、甲殻類など採食します。 8属20種、日本には4種が冬鳥として渡来しますが主に次の3種を近畿でも観る事ができます。
ミコアイサ 英 Smew 学 Mergus albellus
- ■ 形態 全長 38~44㎝
- ■ 分類 カモ目カモ科
- ■ 体色 全身が白い。眼の周囲と後頭に黒班。
- 背は黒く、肩羽は白い。頭に冠羽がある。
- ■ 鳴き声 繁殖時に雄はエルル、エルル、エルル、ウクーと鳴く。
- 雌はクワッ、クワッと鳴く。
北海道で少数が繁殖するが九州以北で越冬します。パンダのような顔で人気のあるカモです。
カワアイサ 英 Goosander 学 Mergus merganser
- ■ 形態 全長 58~75㎝
- ■ 分類 カモ目カモ科
- ■ 体色 緑黒色の頭。頭は後ろにふくらんでいるように見える。
- 赤くて鉤状に曲がった細長い嘴。
- 胸と腹は白。背は黒い雌は頭は茶色で後頭に冠羽がある。
- ■ 鳴き声 雄はカルル、カルル 雌はカルルー、カルルー
北海道では留鳥として繁殖するほか本州、四国、九州に冬鳥として渡来します。
ウミアイサ Red-breasted Merganser 学 Mergus serrator
- ■ 形態 全長 52~58㎝
- ■ 分類 カモ目カモ科
- ■ 体色 頭部は緑黒色で後頭に2段に分れたボサボサした冠羽がある。
- 細長く先端が鉤状に曲がった赤い嘴
- 胸と腹は白。背は黒い雌は頭は茶色で後頭に冠羽がある。
- ■ 鳴き声 クヮッ、クヮッ はたは コロー
日本は冬鳥として九州以北に渡来します。
撮影+解説者紹介:
今中 啓一(いまなか けいいち) ・・ FIO会員
少年期、京都東山での様々な小鳥との出会いがきっかけで「鳥大好き人間」となる。以来、現在も日本野鳥の会などにその身をおき、「鳥見」に勤しむ日々が続く。「野鳥を通して野山など多くの自然に親しんでもらえれば・・」との想いで、各地で森林インストラクター活動中。