タイトル

今中さんの「身近にみられる野鳥図鑑」

日本書記で、イザナギの尊イザナミの尊に子作りの方法を教えたとされ、 古くは「とつぎおしえどり(嫁教鳥)」とも呼ばれていたセキレイを紹介しましょう。

セキレイは今まで日本で記録されたのは5種、うち3種が身近に観られる鳥として親しまれています。 漢字で「鶺鴒」と書き、「鴒」は澄んだ水を表します。 この鳥が河川などの水辺を生活の場としていることがうかがえます。

セグロセキレイ   英 Japanese Wagtail  学 Motacilla grandis

セグロセキレイ
  • ■ 形態  全長 18~21㎝  スズメより大きい
  • ■ 分類  スズメ目セキレイ科
  • ■ 体色  体上面と胸は黒い。眉班・額・喉が白い。
  • ■ 鳴き声 さえずりはチチ―ジョイ、ジュイなど複雑
           地鳴きはジジ、ジジと濁る

日本では留鳥として九州以北で繁殖、南西諸島、伊豆諸島、対馬でも記録があります。以前は、日本固有種といわれていましたが、朝鮮半島でも繁殖していることが判明しました。

ハクセキレイ   英 WhiteWagtail  学 Motacilla alba

ハクセキレイ
  • ■ 形態  全長21㎝  スズメより大きい
  • ■ 分類  スズメ目セキレイ科
  • ■ 体色  頭部は白く、頭上が黒く、黒い過眼線がある
  • ■ 鳴き声 さえずりはチィチィン、チィチィン、チュイリーなど複雑
          地鳴きはチチン、チチンなどセグロセキレイに比べ澄んだ声

1970年代頃、北海道などの北国で繁殖していたハクセキレイが本州へ南下し、 中部から近畿地方で普通に繁殖するようになりました。 一時、セグロセキレイとの交雑が心配されたようですが、 雌雄カップリングの時期が2種間で違うことからか、交雑種の確認はされていないようです。

キセキレイ   英 GreyWagtail  学 Motacilla cinenerea

キセキレイ
  • ■ 形態  全長 20㎝  スズメより大きい
  • ■ 分類  スズメ目セキレイ科
  • ■ 体色  頭上から背、肩羽、耳羽は灰色、下面は黄色で脇はやや白い
  • ■ 鳴き声 さえずりは地鳴きを複雑にして長い
           地鳴きはチチン、チチン

キセキレイは、親鳥がヒナの糞を近くの水たまりや流れの中に捨てに行くようです (鳥面白生活・ピッキオ編著より)。 いわば水洗トイレを利用した清潔な生活をしています。 本種観察は、河川の上流域で多く観ることができますが、下流域では少ないようです。

撮影+解説者紹介:

今中 啓一(いまなか けいいち) ・・ FIO会員

佐藤さんの写真 少年期、京都東山での様々な小鳥との出会いがきっかけで「鳥大好き人間」となる。以来、現在も日本野鳥の会などにその身をおき、「鳥見」に勤しむ日々が続く。「野鳥を通して野山など多くの自然に親しんでもらえれば・・」との想いで、各地で森林インストラクター活動中。