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佐藤さんのお役立ち気象歳時記

寒さ和らぐ

写真 今年2月は寒い日が続いているが、会員から便りでは明るく開けた丘陵・山裾の田の溝では、例年どおりニホンアカガエルが産卵しているようだ。3月5日は冬眠していた虫がはい出してくるころとされる啓蟄(けいちつ)だが、この頃には孵化したオタマジャクシが泳ぎだしていることであろう。


孵化まぢかのニホンアカガエルの卵塊(お好み焼き大、2008年2月25日)

さて、寒さの原因は北極からの寒気の流れこみにあるが、その様子を見ておこう。

図1 図は1月21日~2月17日までの500hPa面の実際の平均高度と平年からの偏差を表したものである。 500hPaを問題とするのは、ちょうど大気圧(1013hPa)の半分、 対流圏のほぼ中間に位置し大気の流れを代表するとされるからである。 500hPa面の高さは、ちょうど将棋の駒のように、南で厚く(高く)北で薄く(低く)なっている。 南の暖かい空気は膨張し等圧面を上げ、北の冷たい空気は収縮し等圧面を下げるからである。 さて、北極に冷たい空気が溜まると、こらえきれずに中緯度へ向かって氾濫する。 その矛先がどこに向かうかが問題だ。 図で破線のハッチは平年より負偏差(寒い)の領域を表すが広く東半球を覆い、 日本はその真っ只中にある。 ただ、3月の予報では台湾付近の正偏差(暖かい)域が拡大・北上して、 日本南部は平年並みに戻るとされている。期待したい。

図2 この冬の大阪の気温を他の冬と比較して見てみよう。なお、2005~6の冬は近年で最も寒い冬であり、 昨年は寒暖の変化の大きい年であった。 この冬は1月末までは、概ね平年並みで推移していたが、 例年であれば気温の反転上昇する2月入っても、 反転どころか1月下旬よりも2月上旬、上旬よりも中旬と気温が下がってきた。しかし、これからは徐々には上がっていくものと見込まれる。


(2012年2月)

執筆者紹介:

佐藤 英雄 (さとう ひでお) ・・ FIO会員、事務局担当のひとり

佐藤さんの写真 民間の気象会社に34年間勤務し、気象の観測・調査・設計、解説・予測などに従事。気象予報士でもあり、森林インストラクターの眼からみた「気象」のお役立ち情報を、月1回のペースで、わかりやすく解説します。