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人工林と天然林

 「人工林」と「天然林」は樹木の集まりである森林を表現する言葉で、林業の分野などで用いられます。人との関わりの度合いで森林は区分され、人為的に種播きや苗を植えることで出来たのが「人工林」と呼ばれます。間伐や下草刈りなどの手入が行われるのが普通です。林野庁の最近の森林資源現況調査では、国土面積37.8万k㎡の66%が森林で、「人工林」はその4割の約10万k㎡です。スギ、ヒノキ、カラマツなどの針葉樹が代表的な樹種です。
一方、「人工林」以外は「天然林」と呼ばれ、厳密には人の手が加わらない森林です。自然災害や伐採された後も、人為的な植栽や種播きなどをすること無く、自然の力で成りたった森林を指します。「天然林」の中には「人工林」との中間的なものとして「天然生林」や「二次林」と呼ばれる表現のものがあり、「里山」と呼ばれる森林もこれに含まれます。「天然林」の代表樹種は、温暖地ではクスノキやタブノキ、カシ類など常緑広葉樹で葉に光沢のある、いわゆる照葉樹です。寒冷地ではブナなど落葉広葉樹が優占します。
また、「天然林」に似た主に環境分野で用いられる表現に「自然林」があります。植生への人為の影響の度合いにより植生自然度で森林を区別します。「自然林」は植生自然度9に当たる自然度合いの高い森林です。最近の環境省の報告では「自然林」は森林全体の約4分の1の6.6万k㎡ですが、調査ごとに少しずつ減少が見られます。歴史的に伐採など人手のはいった痕跡や山火事などでの破壊の見られない自然のままの森林は特に「原生林」と呼ばれ、世界自然遺産の白神山地のブナ原生林や、関西では奈良の春日山原生林が挙げられます。